![]() 会計基準が、毎年追加になったり、変更になったりしている時代に、新たに簿記会計の勉強を始められる方は、何を教科書とし、どの本を参考書とするか迷われることと思う。 会計の専門家である公認会計士や税理士にとっても 2月に買った会計規則集に毎月の変更部分を挟んで仕事をして、8月末くらいになると 持ち運びに不便で 改訂版の規則集に買い換えるような時代で、公文書を作成するときには インターネットで 直近の 法令規則等を確認してから提出しないと不安な時代になってきた。 昔は大学生が 簿記会計の勉強を始めるときには、商業簿記3級の問題集を解くことから始めて、商業簿記2級、工業簿記2級、商業簿記1級、工業簿記1級、原価計算1級、会計学1級と進化していく標準コースがあった。 今でも コース自体に代わりはないが、学習範囲が広がり、取引内容や会計基準、会計指針も多くなり、新聞に会計に関する話題が掲載されることも多く、簿記会計教科書的学習問題と、新聞で話題になる現実の会計実務問題のギャップの大きさに、学習者は気が遠くなるようだ。 で、簿記会計の学習を始めた方に、現実の会計実務問題の概要フロー、基本的考え方を理解していただき、学習目標の水準を理解した上で、教科書的学習問題に取り組んでもらおうという趣旨で書かれた、実践会計の役割 経営に貢献する場面の あらましを 重点的に解説した本を お薦めすることが多くなってきた。 経営に役立つ会計の適用される場面にそって、実践知識であり 実践技術である 簿記会計を学習した方が、効率的で重点的な学習ができる。 最近そのような場面でお薦めしている本が、「ケーススタディ CFOの戦略会計(会計実践力が経営を強くする)」落合稔著(中央経済社)だ。 「ケーススタディ CFOの戦略会計(会計実践力が経営を強くする)」の中で 落合稔さんが 描いているのは、 経営活動と会計が 表裏一体となって機能する会計の姿であり、 会計が 経営成果を測定し 経営改善に貢献する姿である。 この本の目次は、以下のとおり。 はじめに 第1章 会計という仕事/経営を助ける戦略会計の視点 1 会計を実践するビジネスパースン 2 会計の基本と原則を学ぶ : 階層Tの基本 3 経営経理の発想 : 階層Uの仕事 4 株主を意識する経営と会計 : 階層Vの使命 第2章 業界ショート・トリップ/簡単な決算書で会社が分かる 1 イメージ力で企業の財務構造を理解する 2 財務構造の推理ゲーム 3 話題の会社を追う : ヤフー、トヨタ自動車、松下電器 4 異業種8社のポジショニング 第3章 V字回復に見る会計と戦略/戦略構想力と実行力を学ぶ 1 日産自動車リバイバルプランのケース 2 有価証券報告書から企業再生のストーリーを読む 3 ケーススタディ: V字回復にどこまで迫れるか 4 特別損益の会計に迫る 第4章 連結財務諸表の構造/仕組みが分かって決算書を読む 1 連結決算の時代へ 2 連結財務諸表の作成プロセス 3 経営に役立つ連結の早期化 4 ソニーの連結決算経営を読む 第5章 マンネリ化した予算編成の改革/問題解決力を発揮して経営課題を克服する 1 ケーススタディ: ある中小企業の予算編成 2 改革案のバスケット 3 組織、制度、システムを改善する 4 燃えるプラットフォームづくり 5 バランス・スコアカードの視点 第6章 CFOの求める決算方針/決算は経営責任の表明である 1 ケーススタディ: あるアパレルメーカーの決算 2 経営の強みと弱み 3 コンプライアンスと経営判断 4 個別会計処理の適否 5 常時適正決算 第7章 M&Aで知った企業価値/クリエイティビティこそが交渉力を高める 1 あるトイメーカーの海外M&Aのケース 2 さまざまな企業評価法 3 交渉力が価格を動かす 4 M&Aの10のステップ 索引 落合稔さんの定義によれば、 戦略会計とは、経営戦略と一体となり、経営改革、利益、企業価値に貢献する会計である。 管理会計とは、マネジメントコントロールの有力なツールとなる会計である。 財務会計とは、制度会計、報告会計など適正な財務諸表作成・報告の基準となる会計である。 特に 予算編成については、経営戦略の裏付けのない予算は、コントロールだけを目的としただめな予算であるという立場から、ケーススタディにおいて 具体的に 5つの制度・システム改善を提唱しておられるのは実践的だ。 5つの制度・システム改善とは、@ 企画開発調達営業を核にした事業単位での自己完結型組織を責任単位として、予算責任を持たせ、バジェット・マネジャー制度を採用する。 A 各事業単位の中期計画を毎年真剣に見直し、部門責任者の将来展望・現状認識を基本として積み上げた中期計画に基づいて来期予算を編成する。 B 賞与の50%を事業単位の業績の変動に連動するインセンティブ・プランとする。 C 決裁権限規程を見直し、バジェット・マネジャーに 大幅な権限移譲を図る。 D 新予算制度に事業単位の限界利益が分かる変動損益計算書を採用し、毎週の経営会議では事業単位別の予算実績比較データで、現況と対策の報告を求める。 といった体制だ。 また 事業単位のマネジャーに責任ある経営を求める考え方を、「責任経営」と定義し、 @ 自らの責任で計画を立てること。 A 自らの責任で実行すること B 自らの責任で結果を出すこと。 C 結果に対しては 合理的な評価・報酬を約束すること。の4項目を強調しておられるのも 具体的で実際的だ。 現在の中堅企業で 広く行われている会計実務のポイントを 具体的にケーススタディ形式でわかりやすく表現しており、実践会計教科書として、標準的な会計実務の手順・留意点・考え方がよく解る 良い本だと思いました。 参考ホームページ : 中央経済社 http://www.chuokeizai.co.jp/ ![]() |
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