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help リーダーに追加 RSS 「「ナイフ」重松清(新潮文庫)」読みました!

<<   作成日時 : 2006/10/15 21:02   >>

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     「ナイフ」重松清 著(新潮文庫)を読みました。
重松清さんは、1963年3月6日 岡山県久米町(現在の津山市)生まれ。
山口県で中学・高校を過ごし早稲田大学教育学部を卒業。 
角川書店OBのフリーライター、直木賞作家だ。

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     本の目次は、以下のとおり。

ワニとハブとひょうたん池で

ナイフ

キャッチボール日和

エビスくん

ビタースイート・ホーム


   文庫版のためのあとがき       重松 清

   解 説     巷の勇者たちへ    如月 小春


      
     1997年(平成9年)11月に単行本が出て、2000年(平成12年)7月に新潮文庫になった、1999年(平成11年)の坪田穣治文学賞受賞作品だ。
「ワニとハブとひょうたん池で」は中学2年B組の女子、「ナイフ」は中学2年C組の男子、「キャッチボール日和」は、中学3年の男子、「エビスくん」は小学6年3組男子、「ビタースイート・ホーム」は小学4年2組女子を主人公にした いじめにまつわるストーリーだ。

     団塊の世代の中学時代は 武闘派の度胸くらべ・力くらべのようないじめが多かったから、子どもたちに いじめられたくなかったら強くなれと言いやすいが、最近のいじめは陰湿化・低年齢化して 理由もきっかけもわかりにくくなっているらしい。

     著者な作品では、いずれの主人公も 死なないし 殺さないで 何とか事態を耐えて忍ぶ。 現実には ハブられて、死ね死ねと言われているうちに、死んでもいいかな?と思って死んでしまっている人が 新聞にも報道される。 また自分が死ぬ前に、ロクでもない連中を全部片づけておこうと 殺してしまう人も報道される。 著者は、死ななくても殺さなくても、小学校も中学校も普通に卒業できるという、当たり前のことを 苦しんでいる子どもにもその親にも 冷静に気づいてほしいようだ。

     如月小春さんの解説は、「巷の勇者たちへ」と題する熱のこもったものだ。
「 いつの間にか〈いじめ〉は私たちの社会において、日常的な光景と化したのだ。
子どもたちは教室の中で、塾の廊下で、駅前のロータリーで、今一番ハマっているゲームのように、〈いじめ〉に熱中して、飽くことを知らない。 だが どんなに〈いじめ〉が日常化しようと、その標的となった子どもの苦しみが軽減されることは 絶対にないのだ。 絶対に。 
ゲームの参加者たちは貪欲だ。 おまけにその周囲には もっともっとスリリングな展開が見たいとあおりたてる観客がいて、小さな闘牛士たちは、毎日のように新しい仕掛けを工夫しては、哀れな牛をもてあそぶ。 そうなると標的となった子どもが、〈死〉より他に逃げる道も、復讐する道もないと思い始めても不思議ではない。 まさにこれは 絶望のゲームとでも言う他ないのである。 」
如月さんの解説は、やさしく情熱的だが、はっきり言って いじめを始めた人間とその標的となった人間の関係というものは 生涯消えない。 どちらが先に死ぬかという 永い人間関係の始まりになる。 だから、団塊の世代の人間は、〈喧嘩〉はしても〈いじめ〉と思われないように子どもなりに気を遣ったものだ。 〈喧嘩〉なら 勝ったとか負けたとか あとで笑い話にできるが、〈いじめ〉は何十年経っても 絶対に笑い話にはならない。 いじめた人間が忘れても、いじめられた人間は生涯忘れられないのだから、お互いにつらい生涯だ。
重松さんは、いじめられて孤独で絶望的な戦いを毎日続けている子どもたちを 心からいとおしみ、一方で いじめた人の 愚かで浅はかで卑しい心に対し、赦しを与えることを求めているようだ。 どの作品でも、子どもの苦しみと大人の苦しみを合わせて描き、夫の心の痛みと妻の心の痛みを公平に描こうとしておられる 著者の姿勢は、清々しい。
「何を書こうともどんな人間を描こうとも、どこかにいつも澄んだ青空が広がっているかのように、読後が清々しい。そこが好きだ。」という如月小春さんの読後感に共感しました。


参考文献 :

新潮文庫      http://www.shinchosha.co.jp/

重松清とは
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E6%9D%BE%E6%B8%85
 
本屋さんbk1     http://www.bk1.co.jp/p-takase-k47303/

ナイフ
ナイフ (新潮文庫)

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