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zoom RSS 「「空港にて」村上龍(文春文庫)」読みました!

<<   作成日時 : 2005/06/30 00:27   >>

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 「空港にて」は、僕にとって最高の短編小説です。by 村上龍
黄色い帯にそんなことを書いてあるもので、村上龍先生の考えられる「最高の短編小説」というものを鑑賞してみようと買ってきました。

 本の目次は、以下のとおり。

コンビニにて

居酒屋にて

公園にて

カラオケルームにて

披露宴会場にて

クリスマス

駅前にて

空港にて

あとがき


 8つの作品は、いずれも今の生活に行き詰まり海外に出て行こうとする人間に絡む物語だ。
あとがきによれば、幻冬舎の留学情報誌に書いた作品で、個人的な希望を持って 海外に出て行く人間の心情を 日本中どこにでもある場所を舞台にして書こうとしたものだそうだ。

最初の主人公(男)は、アメリカのサンジエゴ市にある映画技術学校に行く予定だ。
2番目の主人公(女)は、南フランスのアルルの町に絵を描きに行く予定だ。
3番目の主人公(女)は、公園でフウタ君のお母さんからアメリカのボストンの大学の研究所に留学すると聞いた私だ。
4番目の主人公(男)は、友達の息子がヨーロッパで美容師をしている失業中の私だ。
5番目の主人公(女)は、海外に新婚旅行に行く、前の職場の同僚の結婚披露宴に出たバツ1で失業中の私だ。
6番目の主人公(女)は、いつか一緒にモロッコへ行こうといった男を待って、クリスマスの夜 ひとりで新宿に来た27歳の私だ。
7番目の主人公(女)は、九州の本社から渋谷の店に販売員として単身赴任してきて、近くの音楽出版会社の経営者からニューヨークとメキシコとキューバへの旅行に誘われている私だ。
8番目の主人公(女)は、地雷で足を失ったアフガニスタンの人に義足を送る夢を見て、熊本の義肢装具士の養成学校の下見に、イメクラ勤めで知り合った客と一緒に飛行機で出かける、2年前に離婚して4歳の子供を育てる33歳の私だ。

 村上龍さんは、あとがきで 作品のねらいを告白される。
 「希望というのは、将来が今よりも良いものになるだろうという思いだ。 近代化途上の日本は貧しかったが、希望だけはあった。 閉塞感の強まる 現在の日本社会において、海外に出るというのは 残された数少ない希望であるのかも知れない。 この短編集には、登場人物の固有の希望を書き込みたかった。 社会的な希望ではない。 他人と共有することのできない個別の希望だ。」

 すべての主人公に海外への夢を持たせるという趣向は、4作目の「カラオケルームにて」、5作目の「披露宴会場にて」では かなり無理な設定になっているが、閉塞状況から社会全体として脱出する道の見あたらない中では、現代の希望への出発は 個人個人の個別の希望を一億人の個人がそれぞれ叶えることによってしか見いだせないという視点は新鮮だ。
政府に頼らない、自己責任の時代だ。
昔のように 一億人が 同じ希望を達成して幸福になれる時代は、高度経済成長の終わった日本では もう望めない。  一人一人が 個人的な希望を達成することで、江戸時代のように町人文化が花開く安定した社会が生まれるのであろうか?

個人的な希望について、考えさせてくれる示唆に富んだ本だと感じました。


  参考ホームページ :

    幻冬舎      http://www.gentosha.co.jp/

   文春WEB文庫  http://www.bunshunplaza.com

      

     本屋さんbk1     http://www.bk1.co.jp/p-takase-k47303/






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